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SAUNA&DRINK

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日常の中に潜む「非凡な普通」 

渋谷区代々木上原にあるサウナの計画である。
東京に約1000ものサウナ施設がひしめく中で、施主が求めたのは「日常に溶け込む普通のサウナ」だった。この一見シンプルな要望に対し、「Re:nomal」というコンセプトを掲げ、「普通」を問い直しながらも、あくまで「普通」として認識されるデザインを目指した。

具体的には、多くの人が抱く公衆浴場の普遍的なイメージをベースにしながら、そこに「普通」を疑う視点から生まれた独自の工夫を加えた。これにより、慣れ親しんだ安心感と、これまでにない心地よさや発見を両立させたサウナ体験の実現を目指した。

「Re:nomal」のコンセプトを具現化する上で特に意識したのは、空間における向きと高さの整理である。

シャワーブースの30度配置

シャワーブースの向きを30度振ることで、利用者がシャワーを使っている際に、隣を通り過ぎる人へ水が飛び散るのを防いだ。これにより、限られた空間でも利用者のストレスを軽減し、スムーズで快適な動線を確保した。

水風呂の30度配置

同様に、水風呂も30度振って配置することで、利用者の視界を改善した。水風呂に浸かる際の開放感を高め、周囲への自然な配慮を促す効果も期待できる。

休憩室の段差

休憩室では、防水のために生じる段差を利用し、後列に座る人の視線が前列の人の頭を越えるように設計した。これにより、どの位置に座っても視界が遮られることなく、景色を眺めたりリラックスしたりできる空間を実現した。

これらの些細な工夫は、「普通」という概念を深く掘り下げ、利用者の細やかなニーズと快適性を追求した結果生まれたものである。過度な演出やトレンドに走らず、本質的な心地よさと、さりげない気遣いによって「非凡な普通」のサウナが出来上がった。

さらに、4階にはバーを設け、サウナ好きの交流の場を目指し、薄れつつある銭湯コミュニティーの継承と進化を図った。

Program:Sauna,Bar
Location:東京都渋谷区上原2-48-11
Structure:RC造
Scale:126.31㎡
Construction:SET UP CO.,LTD. 
Sauna related equipment:株式会社リラインス
Planting Design:○○○○○○○○
Photo:志摩大輔

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